“趺(ふ)” の例文
さて二人に案内を請ひて墓の所に至るに、墓は尋常の棹石(さをいし)にて、高さ二尺七寸、横一尺、趺(ふ)は二重に候。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
我等は倒れたる一圓柱の趺(ふ)の上に踞したり。ジエンナロの力に頼りて、乞兒(かたゐ)の群を逐ひ拂ふことを得たりしかば、我等の心靜に四邊(あたり)の風景を玩(もてあそ)ぶには、復た何の妨(さまたげ)もあらざりき。
峯々は、さながら、一種の華美にして沈欝な、鮮麗にしてしかも陰惨な、奇(あ)やしい錦繍の衣を引きまとって、屈み加減に凝然と、結跏(か)し趺(ふ)坐しているのである。そこに何らの動揺もない。
ある偃松の独白 (新字新仮名) / 中村清太郎(著)