“来(キ)” の例文
旧字:來
刀自らの油断を見ては、ぼつ/″\話をしてゐる。其きれ/″\が、聞かうとも思はぬ郎女の耳にも、ぼつ/″\這入(はい)つて来(キ)勝ちなのであつた。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
ハア何年ぶりだっぺなア、うちの嫁っ子がまだ来(キ)ねえうちだったない、というようなわけなの。
ノッソリ出(デ)テ来(キ)テ、蠅(ハエ)タタキノ如(ゴト)ク、バタットヤッテ、ウムヲ言(イ)ワサヌ。五百枚(ゴヒャクマイ)。良心(リョウシン)。今(イマ)ニ見(ミ)ヨ、ナド匕首(アイクチ)ノゾカセタル態(テイ)ノケチナ仇討(アダウ)チ精進(ショウジン)、馬鹿(バカ)、投(ナ)ゲ捨(ス)テヨ。島崎藤村(シマザキトウソン)。島木健作(シマキケンサク)。
創生記 (新字新仮名) / 太宰治(著)
たちまちにおり来(キ) はれゆく夜はの霧。部屋に入りつゝ 白じろと見ゆ
鵠が音:01 鵠が音 (新字旧仮名) / 折口春洋(著)
「来(キ)」などの「き」には「岐」「支」の類の文字を用い
国語音韻の変遷 (新字新仮名) / 橋本進吉(著)
あなたはきっと、こんなに気の折れて「お后(ゴー)ここへ来(キ)」と炬燵(こたつ)に自分のそばにおきたがっていらっしゃるお父さんを想像お出来にならないかもしれませんね。おや、下でガタガタいっている。
土牀(ツチノユカ)むしろの上に、来(キ)しかたも 行末もなく いびきかくらむ※
橘曙覧評伝 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)