“暫(し)” の例文
吾妻は暫(し)ばし川地の面(おもて)ながめ居りしが、忽如(たちまち)、蒼(あを)く化(な)りて声ひそめつ「——ぢや、又た肺病の黴菌(ばいきん)でも呑(の)まさうと云(いふ)んですか——」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
ワツと泣き洩(も)る声を無理に制せる梅子は、ヒシとばかり銀子を抱(いだ)きつ、燃え立つ二人の花の唇、一つに合して、暫(し)ばし人生の憂(う)きを逃れぬ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
暫(し)ばしの夢に息(やす)んで居(ゐ)られるかと思へば、君、其の細きランプの光が僕の胸中の悪念を一字々々に読み揚げる様に畏(おそ)れるのだ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)