“幾”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
いく83.3%
ほと4.8%
いくばく3.1%
ほとん2.4%
いくば2.0%
ちか2.0%
なん0.7%
い0.3%
いか0.3%
いくつ0.3%
き0.3%
ど0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
モミの木からは、毎年毎年新しい芽がでて、のびていきますから、その節(ふし)の数をかぞえれば、その木が幾(いく)つになったかわかるのです。
一週間ほどたつと、男はそれだけの金を耳をそろへて持つて来たが、女は其のうち幾分を取つただけで、意見をして幾(ほと)んど全部を返した。
或売笑婦の話 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
瑞仙が六十二歳を以て江戸に召された時、弟玄俊は六十歳を以て京都に居残り、幾(いくばく)もあらぬに死んだ。京水の記にはかう云つてある。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
地は隈無く箒目の波を描きて、斑(まだら)に葩(はなびら)の白く散れる上に林樾(こずえ)を洩るゝ日影濃く淡く文(あや)をなしたる、幾(ほとん)ど友禅模様の巧みを尽して
巣鴨菊 (新字旧仮名) / 正岡容(著)
しかし更に考ふるに、此定五郎は幾(いくば)くならずして廢(や)められ、天保弘化の間に明了軒がこれに代つてゐて、所謂五郎作改五郎兵衞は明了軒自身であつたかも知れない。
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
人の一生を水晶の如く透明なるものと思惟するは非なり、行ひに於いては或は完全に幾(ちか)きものあらむ、心に於ては誰か欠然たらざる者あらむ。
心機妙変を論ず (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
「幾(なん)ぼ? 二つもあったら不具(かたわ)だべよ。——お饅頭、お饅頭!」——急にワッと笑い声が起った。
蟹工船 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
馴(な)れない料理人(れうりにん)が、むしるのに、幾(い)くらか鎧皮(よろひがは)が附着(くつゝ)いて居(ゐ)たでせうか。一口(ひとくち)触(さは)つたと思(おも)ふと、舌(した)が切(き)れたんです。鬼殻焼(おにがらやき)を退治(たいぢ)ようと言(い)ふ、意気(いき)が壮(さかん)なだけ実(じつ)に悲惨(ひさん)です。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
幾(いか)ほどお前たちが口惜(くちお)しく存じても詮(せん)ない事さ。とかく人の目を引くような綺麗なものは何の彼(か)のと妬(ねた)まれ難癖を付けられるものさ。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
Nさんは六十幾(いくつ)だが、気持は青年である。この碁会所は帝大の碁の選手の稽古場になつてゐるが、さういふ若い学生や僕達と酒をのむことが好きである。
市井閑談 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
だが大事に到(いた)らず濟(す)むことは確(たし)かだ、と金太郎は、速(そく)度を増してゆく自轉車の上で、幾(き)何の問題を解くときのやうに冷靜(せい)に推(すい)理した。
坂道 (旧字旧仮名) / 新美南吉(著)
何しろ、まだ、ここへ来て幾(ど)いだけもたたない人なんですしするから、手ぬかりが有っちゃあ私の落度だと思ってねえ。
栄蔵の死 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)