“太(ふ)” の例文
お島が太(ふ)てたような顔をして、そこへ坐ったとき、父親が硬(かた)い手に煙管(きせる)を取あげながら訊ねた。お島は曇(うる)んだ目色(めつき)をして、黙っていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
何か不満が有るらしく、自分が何か云っても太(ふ)てて鼻歌で行って仕舞ったり、わざと聞える様に重三の悪口を云ったりする様子がお関には不安で有った。
お久美さんと其の周囲 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
俺太(ふ)て腐(くさ)れてゐたら、おんつぁんが……いつもさうだべ、なあ……額に汗をかき/\俺のものを綺麗に風呂敷に包んで、さあ出て行けと俺の坐つてゐるわきさ置いてよ
骨 (新字旧仮名) / 有島武郎(著)
そういう女の太(ふ)てたような言い草が、笹村の心をいよいよ荒立たしめた。女は顔の汗を拭きながら、台所へ立って行った。
黴 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
太(ふ)てていて、飯にも出て来ようとしないお島を、妹や弟の前で口汚く嘲(あざけ)るのが、この場合母親に取って
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
生活の必要から割り出された太(ふ)て腐れの感情があるのだと、葉子は話して
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)