“太(た)” の例文
屹(きっ)とそうよ。あの人は何かに執(と)り着かれているに相違ないわ。(太吉の手を把(と)る。)太(た)ァちゃん。お前、なにか見なかったかい。
影:(一幕) (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
この観燈と漢時代に太(た)一の神を祭るに火を焚(た)き列(つら)ねて祭ったと云う遺風から、その夜(よ)は家ごとに燈(ともしび)を掲げたので、それを観(み)ようとする人が雑沓(ざっとう)した。
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
一年生の荒木(あらき)と三太(た)、お前ら何しとる! こらツ、三年の吉川静江(よしかはしづえ)、今お手玉を出しちやいかん! 四年の太田(おほた)! 二年の松井(まつゐ)! みんなチヤンとしてこつちを見い!
先生と生徒 (新字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
中からお太(た)さんが出るかどうだか受け合わないが表(おもて)だけはすこぶる立派なものだ。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
おじさんは今でも平気でいるようだけれど、どう考えてもあの人は唯(ただ)の人じゃあない。太(た)ァちゃんとあたしは本当に怖い思いをしたねえ。
影:(一幕) (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
おつや 太(た)ァちゃん、お前どうしたの。木から落っこちた猿(えて)さんのように、今夜は忌(いや)にぼんやりだね。もう眠くなったのかい。
影:(一幕) (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)