“壊(く)” の例文
旧字:壞
獣の脚で踏まれた山の石が一つ壊(く)えて落ちて、乾いた草の上を転がつて、とう/\海まで来てぴちやつと音をさせて水に沈んだ。
センツアマニ (新字旧仮名) / マクシム・ゴーリキー(著)
光太郎は提灯をさげてぶらぶらルダンさんの家のほうへ歩いて行ったが、道普請(みちぶしん)の壊(く)えのあるところへくると、われともなく
黄泉から (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
しかし崖だけは大丈夫です。どんな事があったって壊(く)えっこはねえんだからと、あたかも自分のものを弁護でもするように力(りき)んで帰って行った。
門 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
冬ごもり、こもりあかねど、寒き日は吾(あ)もちぢまりぬ。春まつと妻は急(せ)けども、のどならむ家も壊(く)えたり。
篁 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
私達も危く壊(く)えこみさうな細い畔を渡つてそこに行くと、足もとの処を指さしして見せられる。
かたくり (新字旧仮名) / 水野葉舟(著)
鬚根(ひげね)がぼろぼろした土をつけて下がっている、壊(く)えた赤土のなかから大きな霜柱が光っていた。
雪後 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
山門を仰いで見る、処々、壊(く)え崩れて、草も尾花もむら生えの高い磴を登りかかった、お米の実家の檀那寺(だんなでら)——仙晶寺というのである。が、燈籠寺(とうろうでら)といった方がこの大城下によく通る。
縷紅新草 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あたしは、ナプキンの包みをさげて、お勝手を飛び出し、土塀のところまで走っていって壊(く)い穴のそばへ坐ります。
キャラコさん:08 月光曲 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
冬ごもり、こもりあかねど、寒き日は吾(あ)もちぢまりぬ。春まつと妻は急(せ)けども、のどならむ家も壊(く)えたり。
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
(さあこの上へ乗るんです、土が柔かで壊(く)えますから地面は歩行(ある)かれません。)
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
次の朝、いつもの通り壊(く)い穴のそばでボクさんを待っていましたが、六時がすぎてもとうとうやって来ません。
キャラコさん:08 月光曲 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
(さあ此(こ)の上(うへ)へ乗(の)るんです、土(つち)が柔(やはら)かで壊(く)へますから地面(ぢめん)は歩行(ある)かれません。)
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
いつしかとなごに来ぬらし向山(むかやま)の地震(なゐ)の壊(く)え土萠えかすみつつ
篁 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
お隣り寄りの、小瓦葺(こがわらぶき)の土塀の裾に、大きな壊(く)い穴があいているでしょう。下草(したくさ)が、まだ露でしっとりと濡れているころ、あたしは、毎朝、そこでボクさんを待っていますの。
キャラコさん:08 月光曲 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
いつしかとなごみ来ぬらし向山(むかやま)の地震(なゐ)の壊(く)え土萌えかすみつつ
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
壊(く)ゑはてし家(や)ぬちの闇に鳴きはぜて轡虫は居り住みつくならむ
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)