“鮞(こ)” の例文
うむを見て男魚(をな)己(おのれ)が白䱊(しらこ)を弾着(ひりつけ)、直(すぐ)に女魚(めな)男魚(をな)掘(ほり)のけたる沙石(しやせき)を左右より尾鰭(をひれ)にてすくひかけて鮞(こ)を埋(うづ)む。一粒(つぶ)も流(なが)さるゝ事をせず。
その広(ひろ)さ一尺あまり、深(ふか)さ七八寸、長さ一丈あまり、数日にしてこれを作る。つくりをはれば女魚(めな)そのなかへ鮞(こ)を一粒(つぶ)づゝ産(う)む。
さて奇(き)なる事は、河(かは)の広(ひろ)き場(ば)にてかれ鮞(こ)を産(うみ)おきたる所洪水(こうずゐ)などにて瀬(せ)かはりて河原(かはら)となりしが幾とせたちても産(うみ)たる子腐(くさら)ず、ふたゝび瀬となればその子生化(せいくわ)して鮏(さけ)となる。