“魅(ひ)” の例文
でも、その急な崖には、とてもよじ登ってゆくことができないのが、わかっていたから、どんなに魅(ひ)かれても、ただ、見ているより仕方がなかった。
女生徒 (新字新仮名) / 太宰治(著)
それは老人への好奇心ばかりではなく、あの木美子という美少女が助手である、ということに魅(ひ)かされたのであることが、もっと大きな原因でもあった。
白金神経の少女 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
もうそんな風に顔だけ覗かしていたんですが、こんなにも妙に心を魅(ひ)かれる顔を、助役は始めて見ました。
とむらい機関車 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
セイがこの定義のうちで経済学に与えた自然科学的色彩は、経済学者を魅(ひ)きつけた。実際に経済学者は、社会主義者との闘争において、この考え方の助けを借りたことが大である。
或(ある)いは、どこやら憐憫(れんびん)を誘うような、あわれな盲目の無智、それらの事がらにのみ魅(ひ)かれて王子が夢中で愛撫しているだけの話で、精神的な高い共鳴と信頼から生れた愛情でもなし、また
ろまん灯籠 (新字新仮名) / 太宰治(著)
しかし、なんといっても魅(ひ)かれる女のひとだ。学校の先生なんてさせて置くの惜しい気がする。お教室では、まえほど人気が無くなったけれど、私は、私ひとりは、まえと同様に魅(ひ)かれている。
女生徒 (新字新仮名) / 太宰治(著)