“過(か)” の例文
されど、天、宗匠に嘉(か)するに稀有(けう)の寿命をもってしたれば、過(か)なかりしも、もし宗匠にして短命なりせば、いつの日誰によってかこれを
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
その時、それと同時に、呂宋兵衛(るそんべえ)はとんできた鷲の背なかへ乗りうつっていた——ほとんど、電光(でんこう)一過(か)——目(ま)ばたきする間(ま)だ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今此(この)説を為(な)す、人必ず予の過情を疑わんも、後二十余年にして当(まさ)に其の知言にして、生(せい)に許す者の過(か)に非(あら)ざるを信ずべき也。然(しか)りと雖(いえど)も予の生に許すところの者、寧(なん)ぞ独り文のみならんやと。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
が、そこまでのつきつめた憂いも、帰結を心に観てしまうと、低雲(ていうん)一過(か)、あとは迷うことなく暢々(のびのび)としているのも彼にきわだっている性情の一面だった。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
台風(たいふう)一過(か)、喬之助はしずかに頭を下げた。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「どんな大難も、一過(か)を待てば、おのずから雲間に晴天を見せてくれる。——藤房、わしは死なぬぞ!」
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
山国の遅桜(おそざくら)が、いまの一過(か)の狂風に、どこからともなく散々(さんざん)に花をくだち降らしていたらしい。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ことに厳粛(げんしゅく)きわまる武神(ぶしん)武人(ぶじん)の大行事(だいぎょうじ)、おのずから人の襟(えり)をたださしめて、一しゅんののちは、まるで山雨(さんう)一過(か)して万樹(ばんじゅ)のいろの改(あらた)まったように、シーンと鳴りしずまったまま
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大雨(たいう)一過(か)のおもむきである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)