“訝”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
いぶか66.1%
いぶ12.7%
おか10.3%
あや4.8%
をか2.6%
おつ0.5%
あやし0.5%
いぶかし0.5%
いぶかり0.5%
をかし0.5%
お0.3%
こだま0.3%
イブ0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
訝(いぶか)しそうな眼を向けたが、孝之助は頷(うなず)いた。北畠の叔母に関する限り、できるだけ話を簡単にするのが、長いあいだの習慣であった。
竹柏記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
既にして群集(ぐんじゆ)の眸子(ぼうし)、均(ひと)しく訝(いぶ)かしげに小門の方に向へり、「オヤ」「アラ」「マア」篠田長二の筒袖姿忽然(こつぜん)として其処に現はれしなり
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
と撫(なで)て見ると訝(おか)しな手障(てざわり)だから財布の中へ手を入れて引出して見ると、封金(ふうきん)で百両有りましたから恟(びっく)りして橋の袂(たもと)まで追駆(おっか)けて参り
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そして縦繁(たてしげ)の障子の桟の一とコマ毎に出来ている隈(くま)が、あたかも塵が溜まったように、永久に紙に沁み着いて動かないのかと訝(あや)しまれる。
陰翳礼讃 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
『お時は近頃色氣づいた。』『隣の本山(もとやま)さんへ來る牛乳配達と訝(をか)しい。』『いつでも垣根の向うと此方でベチャ/\何か話してゐる。』
反古 (旧字旧仮名) / 小山内薫(著)
せしめたのだ何處(どこ)からも尻(しり)の來(くる)氣遣はねへ〆(しめ)ろ/\と一同に飛懸らんずる樣子(やうす)ゆゑ半四郎は心の中に扨(さて)は此奴等我は年端(としは)も行(ゆか)ぬ若者と侮(あなど)り訝(おつ)な處へ氣を廻し酒代を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
私は眼に一丁字もない彼女が何をするのかと、訝(あやし)んだ。ところが姉は筆に墨をふくめて、いきなり私の顔へ、大きな眼鏡と髯とをかいた。それから私を鏡の前へつれて行った。
可哀相な姉 (新字新仮名) / 渡辺温(著)
下女が三人前の膳を持出(もちだ)し、二人分をやや上座(かみくら)へ据(す)え、残りの膳をその男の前へ直(なお)した、男も不思議に思い、一人の客に三人前の膳を出すのは如何(どう)いう訳だと聞くと、下女は訝(いぶかし)げに三人のお客様ゆえ
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
パシエンカは妙な事を問はれたと不思議に思ふらしく訝(いぶかり)の目をしてセルギウスを見た。
訝(をかし)な事には、少し離れて寫すと、顏が長くなつたり、扁(ひらた)くなつたり、目も鼻も歪(ゆが)んで見えるのであつたが、お定は幼(おさな)心に、これは鏡が餘り大き過ぎるからだと考へてゐたものだ。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
が、訝(お)かしい事には、誰一人として、主役を買って出た、彼の演技に触れるものはなかったのである。所が、次の話題に持ち出されたのは、いまの幕に、法水が不思議な台詞(せりふ)を口にした事であった。
オフェリヤ殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
白昼も寂然(しん)としていて訝(こだま)をするか、濁って呼ぶから女の名ではあるまいが、おなじ名のきれいな、あわれな婦(おんな)がここで自殺をしたと伝えて、のちのちの今も尚(な)お
遺稿:02 遺稿 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
諺(ことわざ)にも——好(ヨ)キ人ノ難(ナン)ハ人ミナ惜シミ、好悪ニ災(ワザワイ)ナキハ人ミナ訝(イブ)カル——とある通り、天の救いといえるものか。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)