“褻(な)” の例文
郎女は、徐(しず)かに両袖(もろそで)を、胸のあたりに重ねて見た。家に居た時よりは、褻(な)れ、皺立(しわだ)っているが、小鳥の羽には、なって居なかった。手をあげて唇に触れて見ると、喙でもなかった。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
これをアヌンチヤタの一種近づくべからず褻(な)るべからざる所ありしに比ぶれば、固(もと)より及ぶべくもあらねど、かの捉へ難き過去の幻影には、最早この身近き現在の形相(ぎやうさう)を斥(しりぞ)くる力なかりしなり。