“褫(と)” の例文
天狗(てんぐ)の俎(まないた)といひますやうな 大木(たいぼく)の切(き)つたのが据置(すゑお)いてあるんです。其(そ)の上(うへ)へ、私(わたし)は内外(うちと)の衣(きぬ)を褫(と)られて、そして寢(ね)かされました。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
頭脳(あたま)が三方四方へ褫(と)られているようで、この一月ばかりの新吉の胸の悩ましさというものは、口にも辞(ことば)にも出せぬほどであった。その苦しい思いが、何でお作に解ろう。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「これですか」木村はやっぱりその方に気を褫(と)られていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)