“禁(た)” の例文
その頃料らずも外山正一氏の畫論を讀みて、我(わが)懷(いだ)けるところに衝突せるを覺え、遂(つひ)に技癢(ぎやう)にえ禁(た)へずして反駁(はんばく)の文を草しつ。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
御意にございます、格別のお馴染で有難う存じます、酒を禁(た)ったかえ、禁ちました、そんなら屠蘇を飲め、殿様から拝領の松竹梅の大盞(おおさかずき)で飲め、己が酌(つ)いで遣ろう
着手するの仕損じがないのと、此の先生は直接に余の身体へ、何うか云う風に手を下す積りでは有るまいか、斯う思うと何だか余は自分の肉が縮み込む様な気持に禁(た)えぬ。
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
実はね、媽々衆、ああ見えて、浮気もんでね、亭主は旅稼ぎで留守なり、こちらのお若い方のような、おッこちが欲しさに、酒どころか、杯を禁(た)っておりますんでね。はッはッはッ。
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
沖天の雄志躍々として禁(た)ふる能はず、天下を擧げて之に與ふるも心(こゝろ)慊焉たらざりしものも、一旦魂(こん)絶えて身異物とならば、苔塔墓陰、盈尺の地を守つて寂然として聲なし、人生の空然たる
人生終に奈何 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
照「はい、私(わたくし)はあの池(いけ)の端(はた)の弁天様へ、養子を致す事を三年の間願掛(がんが)けをして禁(た)ちました」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
好(すき)な酒だから飲むなじゃアないが、手前が一己立(いッきだち)になるまでは酒だけ止めてくれろよ、と手を突いて頼むと云われたから、お父(とっ)さん、そんなら私は羽根田の弁天様へ酒を禁(た)とうと云って
何うしたら宜(よ)かろうと存じまして、お照さまに御両親様から急に御養子を遊ばせと仰しゃるので、嬢様は否(いや)だと云って弁天様へ禁(た)ったと仰しゃったそうでござりますが、お父様が聴かぬので
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)