“拖(し)” の例文
小野さんの靴は、湿(しめ)っぽい光を憚(はば)かるごとく、地に落す踵(かかと)を洋袴(ズボン)の裾(すそ)に隠して、小路(こうじ)を蕎麦屋(そばや)の行灯(あんどん)まで抜け出して左へ折れた。往来は人の香(におい)がする。地に拖(し)く影は長くはない。丸まって動いて来る。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)