“帷”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
とばり78.0%
カアテン5.5%
カーテン3.7%
まく2.8%
い1.8%
とば1.8%
かあてん0.9%
ゐ0.9%
かたびら0.9%
ぎぬ0.9%
たれぬの0.9%
まどかけ0.9%
ブェール0.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
窓にはことごとく帷(とばり)が下りている。右手にグランド・ピアノがあって、真中の円卓のまわりに、茶色の絹張りの安楽椅子が並んでいる。
かとも思ったが、どちらを視(なが)めても、何も居(お)らず、どこに窓らしい薄明りも射(さ)さなければ、一間開放した筈(はず)の、帷(カアテン)の戦(そよ)ぎも見えぬ。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
下関発上り一二等特急、富士号、二等寝台車の上段の帷(カーテン)をピッタリと鎖(とざ)して、シャツに猿股(さるまた)一つのまま枕元の豆電燈を灯(つ)けた。
冥土行進曲 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
朝、目が醒めると私の脚もとから胸先へかけて麗らかな陽が射してゐるかと思ふと、頭上の帷(まく)に大臼にも増した仁王の頭(かしら)が、くつきりと映つてゐることがある。
ダニューヴの花嫁 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
その上に稀れなる美人で、客を愛し、風流の旅を好む、以前は江戸に出て、塾を開いて帷(い)を下ろして子弟を教えていたが、今は仙台に帰っているはず、ともかくも
大菩薩峠:34 白雲の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
と、帷(とば)りが上がって……ほかならぬ当のグルーシェンカが嫣然(えんぜん)と笑いこぼれながら、テーブルへ近づいて来た。アリョーシャは身内がぎくんと震えたように覚えた。
入口に垂れた青い帷(かあてん)をかかげながら、観音堂の裏手で投げ込んだ手紙のことを浮かべて、あの女はもう見たろうかと思った。
水魔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
しかし「手紙は山陽が方(まさ)に纔(わづか)に茶山の塾を去りて京都に帷(ゐ)を下(くだ)せる時書かれたる者」
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
しからざれば一壺の酒一緡(いちびん)の青蚨をもって土産として、ある時は三条西家の青侍等の衣服にとて帷(かたびら)三を贈ったこともあった。
色ねびし窓帷(ぎぬ)の吐息する
深夜の道士 (新字旧仮名) / 富永太郎(著)
そして水を離れて日に照された櫂のやうに光る白歯が見える。哀しい追憶を隠す、重い帷(たれぬの)が開くやうに、眉の間の皺が展(の)びる。
帷(まどかけ)を引かざれば、室の内外の光景は明白に我眼に映ぜり。この家の裏の方、側廂(かたびさし)に通ずる大なる梯(はしご)の室内より見ゆる處に、別に又一つの窓あるをも、われは此時始て認め得たり。
そして同時にそれはけっして龍助には捉えることのできぬものなのだ——彼が自ら拵えあげた神秘の帷(ブェール)を透して懸命に掴もうとしていたものは、じつは彼女が津川にと彼から盗んでいたのであった。
正体 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)