“屍(し)” の例文
やがて、完全な溺(でき)死を待って静かに浴槽中にもどすと、屍(し)体は、頭の方を先に湯の底を潜(くぐ)って、逆に浴槽の細い部分へつくというのである。
浴槽の花嫁 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
半日の合戦に八百八屍(し)の死骸を積み、張飛のことを、八百八屍将軍と綽名(あだな)して、黄匪(こうひ)を戦慄させたという勇名のある漢だ。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
最初の発見者が駈けつけた刹那(せつな)に、ジャックは屍(し)体を離れて、その時は静かに、そこらの暗い一隅に立って人々の驚愕(きょうがく)を見ていたに相違ない。
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
事実、ジャックが、近づく馬車の音にあわてて、屍(し)体を離れ、最寄(もよ)りの暗い壁へでも身を貼(は)りつけたとたんに、発見者の馬車がはいってきたものに相違ない。
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
この殺人は、沈黙と、些少(さしょう)の抗争の裡(うち)にごく短時間に行なわれたに相違ない。多くの場合、屍(し)体は、浴槽の幅の広い部分へ脚を向けている姿勢で発見された。
浴槽の花嫁 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
いわんやこの犯人は、女を殺害したうえ、ほとんど解剖のごとき行為をその死屍(し)に施(ほどこ)しているのである。
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
八、各事件を通じて、屍(し)体発見の直前に、被告は、夕刊、食料品を購(か)うためちょっと外出していること。
浴槽の花嫁 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
検屍(し)官が蜂の巣のようになって土に横たわっているマタ・アリの死体を靴の先で軽く蹴りながら
戦雲を駆る女怪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
モスタアが即死したと聞いて、瀕死(ひんし)のダグラスも、肘(ひじ)を立てて身を起そうとした。人々はダグラスの疑いを霽(は)らすために、モスタアの屍(し)骸を引きずって来てみせなければならなかった。
チャアリイは何処にいる (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
あとから屍(し)骸ということにして国境外へ運び出す手筈(てはず)になっている。
戦雲を駆る女怪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)