“家(ち)” の例文
あたいん家(ち)はね、震災に焼けっちまったんだとさ、お店だったんだって——おっ母さんがね、そん時びっくりした拍子に、あたいを
白い壁 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
「そうそうその広海屋さんが、今宵(こよい)、大方、こっ家(ち)へこられたように聴いたので、来ましたが——そうか、やはりおいでなされたか——」
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
……君ん家(ち)で、どれ程迷惑してゐるかと言ふことは良く分つてるんだけど、自分で当(アテ)がないから自発的に出て行くといふ気持は動かないんだ。
竹藪の家 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
「こまったな、あの犬、なんて呼んだらいいんだい。かまわないや、僕ん家(ち)の犬の名をつけちまえ。オーイ、ポパイ、ポパイ、ポパイ——!」
新宝島 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「君は昨夜目黒の陸橋のところで僕に会ったネ。あのとき僕が君ン家(ち)の隣りに住んでいる人間だとすぐ分ってたかい」
深夜の市長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
母子(おやこ)して人ン家(ち)の軒下を借りとる今よりやね、わしは學問がないから理窟はなにも知らん、ただ何事にまれ
第一義の道 (旧字旧仮名) / 島木健作(著)
「その代わり今松さん、今夜遠回りして私、堀田原抜けてくわ。そしてあんたン家(ち)まで送ってってあげるわ」
寄席 (新字新仮名) / 正岡容(著)
あれサ、宜(い)いから泊んなよ、おらン家(ち)の亭主(あにい)は慈悲深(なさけぶか)い人だから何も気遣するにゃア及ばねえ、事に依ると単物の一枚(めえ)ぐれえくれるぜ、遠慮しねえが宜い、親方が帰ったら己(おれ)が話を
やあ公はくいしんぼうだ。そこで、いっぱいみのったびわの木が、加平ン家(ち)の畑のくろでやあ公を待っているといえばとんでいかぬわけがない。あいつほんとにくいしんぼうだから。
空気ポンプ (新字新仮名) / 新美南吉(著)
そいつを承知してこのおかみの言ふことをきいてりや、第一おめえ達の身が安全だし、こゝん家(ち)でも安心して世話をしてくれるし、金も貸してくれるてえわけだ。どうだ、解つたかね?
天国の記録 (旧字旧仮名) / 下村千秋(著)
開けるってえと、茶袋に、石でも入れたような物が、転がり落ちた。また、おめえン家(ち)の悪太郎でも、悪戯(いたずら)しやがったかと思って、ひょいと、拾って見ると、中にゃ、金が小判で二十両
雲霧閻魔帳 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「京ちゃん、明日あたいと踊ってくれ、明日だけは誰とも踊らずに、一晩中あたい一人と踊ってくれ——と言うんだ。じゃ、踊ってやらア。その代り、明日、おれ茉莉ン家(ち)で泊めてくれるかい。——うん、泊めてあげるッてんで、借り切られたんだよ」
土曜夫人 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
「あたいん家(ち)か? あたいん家はねえ」と阿部は少しでも高くなって展望をきかせたいと思い、金網に縋(すが)ってこうもりのようにぶら吊(さが)った。
白い壁 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
「おばさん家(ち)は……あ、そうじゃない、御寮人さまの家は、いったい何屋なの」
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ハク、白状しちまふとね、君ん家(ち)へ居候を初めて以来、仕事を探しに行つて来ますつて言ひ乍ら飛び出すけどね、あれあ皆んな大嘘さ、仕事を探したことなんか一日だつて有りやしないんだよ。
竹藪の家 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
「そいぢや、角ちやん家(ち)は旦那衆(だんなしゆう)だね。小判がうんとあるんだね。」
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
「俺ン家(ち)は平屋だい」
寄席 (新字新仮名) / 正岡容(著)
「あたいはね、先生——お弁当持ってきたよ、あたいん家(ち)ではね、昨日……だか何日だか、区役所からこんなにお米を買ってきてさ、そいでねえ、ねえ先生——」
白い壁 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
「おばさん、おばさん家(ち)は何処だえ」
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)