“嫁(い)” の例文
「半年まえ、貴方様はわたくしに、脇田さまへ嫁(い)く気があるかとお訊ねなさいました、あれは、おたわむれだったのでございますか」
彩虹 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
その頃ではもう嫁(い)き遲れの二十二、非凡の美しさで、娘姿に薹(とう)も立ちませんが、はたの者に氣を揉ませることは一と通りではありません。
母が「嫁(い)つてから恥をかいちやならないから——精々散歩するつもりで、落着いて、一つゞつでもいゝからね、日に。」
凸面鏡 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
松村様、何を仰(おつ)しやる、山木様が何で彼様男(あんなひと)の所などへお嫁(い)でになるもんですか、私(わたし)も何時でしたか、何かの席で篠田と云ふ人見ましたがネ、貴女(あなた)
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
「嗚呼(ああ)、私はどうしたら可からう! 若し私が彼方(あつち)へ嫁(い)つたら、貫一さんはどうするの、それを聞かして下さいな」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
あれは見どころのある、いい人間だもの。いやなら——嫁(い)かないがいいのさ。誰もお前を、束縛しやしない。……
桜の園 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
嫁入りさきがあんまり堅實(かたぎ)な大家なので、嚴しくて、放縱(はうじゆう)な家庭から嫁(い)つてお腹がすいてすいて堪らず、ないしよで食べものをつまんで、口へ入れたときに呼ばれたので
「郭子儀」異変 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
「大丈夫さ。しかしもちろん戦争のことだから、どういふ張合でどんなことがあるかもわからない。そのときはおまへはね、おれとの約束はすつかり消えたんだから、外(ほか)へ嫁(い)つてくれ。」
烏の北斗七星 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
両親(おや)もこんな事ならあんな学校に入れるんじゃなかったと悔やんでいましてね。それにあなた、その娘(こ)はわたしはあの二百五十円より下の月給の良人(ひと)には嫁(い)かない、なんぞ申しましてね。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
「お嬢様はHさんのところに嫁(い)らっしゃれば丁度好い」
千世子 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
『ですけど、私奈何(どう)したつて嫁(い)かないことよ。』
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
いやこれは、ごめん(パルドン)。……ワーリャはあの男のところへ嫁(い)くんだっけな、あれはワーリャのムコさんだ。
桜の園 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「大丈夫(だいじょうぶ)さ。しかしもちろん戦争のことだから、どういう張合でどんなことがあるかもわからない。そのときはおまえはね、おれとの約束(やくそく)はすっかり消えたんだから、外(ほか)へ嫁(い)ってくれ。」
烏の北斗七星 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
『ですけど、私奈何したつて嫁(い)かないことよ。』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「あの松平(まつだいら)さんに嫁(い)らっした方でしょう」
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
ラネーフスカヤ 何をおこるのさ、ワーリャ? この人が、ロパーヒンのことでお前をからかったって、それがなんです? 嫁(い)きたければ——ロパーヒンの嫁になるがいいわ。
桜の園 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
思うて嫁(い)ってくれたことはよう知っとるさ。……じゃが