“吐(と)” の例文
所謂補瀉(ほしや)の別である。峻烈手段には汗(かん)吐(と)下(げ)の三法があるが、其一隅を挙げて瀉と云ふのである。張従正は瀉を用ゐた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「身内の欲虫、人の和合する時男虫は白精、涙の如くにして出で、女虫は赤精、吐(と)の如くにして出づ、骨髄の膏(あぶら)流れて此の二虫をして吐涙の如くに出でしむ」
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
どッとゝ番町今井谷を下りまして、虎ノ門を出にかゝるとお刺身にお吸物を三杯食ったので胸がむかついて耐(たま)りませんから、堀浚(ほりさら)いの泥に積っている雪の上へ吐(と)しました。
梅若七兵衛 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
頓服し、更に、吐(と)剤か、養生ぐひの心にて、予の鈎を呑みしものたるべし
釣好隠居の懺悔 (新字旧仮名) / 石井研堂(著)
われともなく吐(と)むねをつかれた。
予言 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
吐(と)いきをしつつ、立寄って
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)