“剥(そ)” の例文
このほど大王何処(いずく)よりか、照射(ともし)といへる女鹿(めじか)を連れ給ひ、そが容色に溺(おぼ)れたまへば、われ曹(ら)が寵(ちょう)は日々に剥(そ)がれて、私(ひそ)かに恨めしく思ひしなり。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
お登和嬢は大原のナイフを持ちて骨付の肉を剥(そ)がんとするを見「大原さんその肉はお箸(はし)でおちぎりなすっても取れますよ」
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
ところが、剥(そ)がれた割れ口を見ると、それに痂皮(かひ)が出来ていない。まるで透明な雁皮(がんぴ)としか思われないだろう。が、この方は明らかな死体現象なんだよ。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
ほっそりと顔全体が毎日鉋(かんな)をかけたように剥(そ)がれてゆくのや、病的に沈みきって蒼みをもった皮膚が、きみの悪いほど艶を失って、喉のあたりまで白く冷たく流れこんでいるのや
香爐を盗む (新字新仮名) / 室生犀星(著)