“円(ま)” の例文
旧字:圓
葉子も、何時か、体全体に、脂肪を持った、ふくよかな肉がつき、円(ま)ろやかに、体から流れ出る線は、白く、そして弾力に富んで来た。
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
乳が止まることのあるものだと聞くと、乳母は、胸へ手を当て、眼を円(ま)るくした。「ともかく明日わたしが又来るから、そのとき模様を見てあげよう。」
童子 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
そしてあの前の院長さんの胸像の立つてゐる円(ま)るい芝生のところまで来たところで、奥さんの足が右へ廻るか左へ廻るかによつて、その夜の散歩が伸びたり縮んだりする。
死児変相 (新字旧仮名) / 神西清(著)
それに番号の片(きれ)と針と糸を渡されたので、俺は着物の襟(えり)にそれを縫いつけた。そして、こっそり小さい円(ま)るい鏡に写してみた。すると急に自分の顔が罪人になって見えてきた。
独房 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
なんぼかこれが(と拇指(おやゆび)と示指(さしゆび)とで円(ま)るものをこしらえて、)
電報 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
僕が有るといふと、眼を円(ま)るくして
露都雑記 (新字旧仮名) / 二葉亭四迷(著)
不思議な円(ま)ろさ。
眼 (新字旧仮名) / 片山敏彦(著)
漁夫や雑夫は蟹の鋏(はさみ)のようにかじかんだ手を時々はすがいに懐(ふところ)の中につッこんだり、口のあたりを両手で円(ま)るく囲んで、ハアーと息をかけたりして働かなければならなかった。
蟹工船 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)