“倣(な)” の例文
僕のこの言(げん)を倣(な)す所以(ゆゑん)は、渋沢(しぶさは)子爵の一言(いちげん)より、滔滔(たうたう)と何(なん)でもしやべり得る僕の才力を示さんが為なり。されどかならずしもその為のみにはあらず。同胞よ。
だが、見つめていると、紅(あか)い一面の雲のような花の層に柔かい萌黄(もえぎ)いろの桃の木の葉が人懐(ひとなつ)かしく浸潤(にじ)み出ているのに気を取り倣(な)されて、蝙蝠傘(こうもりがさ)をすぼめて桃林へ入って行った。
桃のある風景 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)