“雕(ゑ)” の例文
端なくもわが心の裡に雕(ゑ)られたる圖を繰りひろげつゝ、身のめぐりなるめでたき畫どもを忘れたりとて、姫は我に先だちて歩を移しき。
其の後一五〇御廟(みべう)は一五一玉もて雕(ゑ)り、一五二丹青(たんせい)を彩(ゑど)りなして、稜威(みいづ)を崇(あが)めたてまつる。かの国にかよふ人は、必ず幣(ぬさ)をささげて一五三斎(いは)ひまつるべき御神なりけらし。
錦橋の墓はこれに雕(ゑ)つてあつた杉本仲温撰の墓表と共に湮滅(いんめつ)し、錦橋は惟(たゞ)法諡(はふし)を谷中共同墓地にある一基の合墓上に留め、杉本の文は偶(たま/\)江戸黄檗禅刹記中に存してゐること、既に云つた如くである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)