“逝(な)” の例文
肩から胸まで切り下げられ、そのままお逝(な)くなりなされたし、一昨々日(さきおととい)も些細(ささい)な咎(とが)で、お納戸役(なんどやく)の金吾様が命をお取られなされました
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
何でも三十八年の間引続いて住職を勤め、延宝八年とかに九十二で逝(な)くなつたといふから、随分達者な僧侶(ばう)さんだつたに相違ない。
森さんが突然北京(ペキン)でお逝(な)くなりになったのを私が新聞で知ったのは、去年の七月の朝から息苦しいほど暑かった日であった。
菜穂子 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
次にそうして最後に私が鳴尾君を見たのは、高倉先生が逝(な)くなって、その葬儀が信濃町教会で執行された時であった。
西隣塾記 (新字新仮名) / 小山清(著)
それはある漂流者がここに来て食客をしてゐた時分密かに町の人に薬を売つてゐたのが、逝(な)くなつたので、そのまゝにしてあるといふ、旧い話であらう。
水郷柳河 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
これを芝居道の上でいえば、逝(な)くなった団十郎の芝居は腹芸が多く、動きが少ないから、当時大向うに受けなかったという話であるが、それと同じであろう。
現代能書批評 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
やがてデビーは病気保養のため、イタリアに転地などをしておったが、五年の後逝(な)くなった。
それから水上葉と云ふ丸亀の方も矢張りお逝(な)くなりなすつたやうです。少しでも交渉のあつた方が逝くなりなすつたなんて聞くと寂しい気がするものですね。 (大正四、一一、一七)
らいてう氏に (新字旧仮名) / 伊藤野枝(著)
愈々(いよいよ)念仏の行に怠りがなかったから、建保七年の正月右大臣が逝(な)くなった時に、二位尼の計らいで、遺骨を為守の処へ渡されたので、偏(ひとえ)に右大臣実朝の菩提をとむらったということである。
法然行伝 (新字新仮名) / 中里介山(著)
逝(な)い母などは心配して、「この娘はきっと嫉妬ぶかいよ、この娘はきっと執着づよいよ、女の身で長虫を恐がらないのだから」
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
森さんが突然北京(ペキン)でお逝(な)くなりになったのを私が新聞で知ったのは、去年の七月の朝から息苦しいほど暑かった日であった。
楡の家 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
それはある漂浪者がこゝに來て食客をしてゐた時分密かに町の人に藥を賣つてゐたのが、逝(な)くなつたので、そのまゝにしてあるといふ、舊い話であらう。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
逝(な)くなられた月日のことを私は覚えていない。また今年は何回忌に当るのか、それも知らない。
西隣塾記 (新字新仮名) / 小山清(著)
しかるに大弐や右門なるものの、その陰謀の源泉は、三宅島において逝(な)くなられましたはずの、あの恐るべき人物から流れ出ているはずにござります。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
あんな有様でお逝(な)くなりになり、どうも死因が変だというので、マリア姫のお父様の外務大臣とは、以前政治上の問題で、御用を達(た)したことがありました所から、大臣が私に御依頼になり
西班牙の恋 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
起し、逝(な)くなられたのかも知れませんな。ドクトル、どうだね、この意見は?
西班牙の恋 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
一体こんな事があるのでしょうか? こんな事があってよいのでしょうか? 神様、神様、全能の主よ。どうぞあの方をお助け下さい。そうして逝(な)くなった二人の方の、魂をお導き下さいまし。
西班牙の恋 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そのご書面によりますと、園子様の兄上の青地清左衛門様は、徳大寺様の密使を受けまして、江戸へ密行をなされる途中、箱根の峠路で何者とも知れず、殺害なされてお逝(な)くなりなされたそうで。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そうしたら逝(な)くなられた弁才坊殿が、苦心をされて調べあげた、唐寺の謎の研究材料、その有場所が解るのでござる! 奈良朝時代の貴女人形、あの人形に一切合財、秘密が籠っているのでござる。
南蛮秘話森右近丸 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
両親も逝(な)くなっておりました。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)