“装(な)” の例文
旧字:裝
私が訳し終ると太子をはじめ三人は改めて感謝の瞳を昔知事(ガヴァナー)や市長(メーヤー)だったらしくもないこの妙な装(な)りをした大入道の老人に注いでいたが
ナリン殿下への回想 (新字新仮名) / 橘外男(著)
蔭間茶屋(かげまぢゃや)の色子(いろこ)(野郎(やろう))風俗だの売女の装(な)り振(ふ)りが、良家の子女にまで真似られて、大奥や柳沢閥の華奢(かしゃ)をさえ、色彩のうすいものにした。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
圓朝はここを先途と喋りまくったけれど、毎晩みすぼらしい装(な)りをした場違いのお客様が、二十か三十くるばかりで、てんでどうにも仕様がなかった。
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
あたし、こんな装(な)りで、それや寒いのよ。
長閑なる反目 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
夕方だったから判然(はっきり)とは私にもわかりかねたが、いずれもこないだの着物と寸分違わぬ装(な)りをしていたように思われる。
逗子物語 (新字新仮名) / 橘外男(著)
「圓朝さん、お前生涯にいっぺんだけそういう装(な)りがしてみたかったんだろう、生れてから今日日(きょうび)までお前の身の周りは何もかもズーッと真っ黒ずくめだったんだものなあ」
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)