“示(み)” の例文
ひつかゝりの一(ひと)つは、現に彼の眼前(めのまへ)に裸体になつてモデル臺に立つているお房だ。お房は、幾らかの賃銭(ちんせん)で肉體の全(すべ)てを示(み)せてゐるやうな賤(いや)しい女(をんな)だ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
「これがいい。朝の急行が……。」などと、浅井はそこのところを指して、茶をいれているお今に示(み)せた。
爛 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
諸の神たちに示(み)せて詔りたまはく、「もし天若日子、命(みこと)を誤(たが)へず、惡(あら)ぶる神を射つる矢の到れるならば、天若日子にな中(あた)りそ。もし邪(きたな)き心あらば、天若日子この矢にまがれ一六」
自惚(うぬぼれ)は天性だから、書上げると、先ず自分と自分に満足して、これなら当代の老大家の作に比しても左(さ)して遜色(そんしょく)は有るまい、友に示(み)せたら必ず驚くと思って、示(み)せたら、友は驚かなかった。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
彼の傍には、人體の模造——と謂ツても、筋肉と動靜脈(どうじやうみやく)とを示(み)せる爲に出來た等身の模造が、大きな硝子の箱の中に入ツて、少し體を斜にせられて突ツ立ツてゐる。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
丁度お八つ時分の茶(ちゃ)の室(ま)では、隠居や子息(むすこ)と一緒に、鶴さんもお茶を飲みながら話込んでいたが、お島が手土産の菓子の折を、裏の方に濯(すす)ぎものをしているおゆうに示(み)せて
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
川面の處々に洲(す)があツた。洲には枯葦が淋しく凋落の影を示(み)せてゐて、埃(ごみ)や芥(あくた)もどツさり流寄ツてゐた。其の芥を二三羽の鴉が啄(つゝ)き𢌞し、影は霧にぼかされてぽーツと浮いたやうになツて見えた。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
お銀は箪笥(たんす)のうえにおいてあった浴衣地を卸(おろ)して来て、笹村に示(み)せた。
黴 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)