“漲”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
みなぎ92.9%
みな4.7%
は0.6%
ミナギ0.6%
あふ0.2%
はびこ0.2%
ひた0.2%
みなき0.2%
みなぎら0.2%
みなぎり0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
一種、眼の眩(くら)みそうな臭(におい)が室内に漲(みなぎ)って、周蔵は起上って坐っていたが、私の入って来ると同時にまたごろりと眠(ね)ころんでしまった。
黄色い晩 (新字新仮名) / 小川未明(著)
実生活の圧迫を逃れたわが心が、本来の自由に跳(は)ね返って、むっちりとした余裕を得た時、油然(ゆうぜん)と漲(みな)ぎり浮かんだ天来(てんらい)の彩紋(さいもん)である。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いまじぶんになると、毎日台所へ来て、水瓶(みずがめ)に水を漲(は)ったり、洗い物などしてゆく近所の洗濯婆さんであった。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
中臣・藤原の遠祖が、天二上(アメノフタカミ)に求めた天八井(アメノヤヰ)の水を集めて、峰を流れ降り、岩にあたつて漲(ミナギ)り激(タギ)つ川なのであらう。瀬音のする方に向いて、姫は、掌(タナソコ)を合せた。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
明るい美しい陽の光が、山々谷々に充ち漲(あふ)れ、空には赤い太陽と蒼白い月とがかかっている……。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そうして見る間に末広がりに煙りの先が広がって空一面に漲(はびこ)ったかと思うと、沛然(はいぜん)と暴雨が降りかかった。暴雨は谷間に滝のように注ぎ、そこに籠(こも)った総(すべ)ての物を押し流そうとするのでもあろう。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
立待岬(たちまちさき)から汐首(しほくび)の岬まで、諸手(もろて)を擴げて海を抱いた七里の砂濱には、荒々しい磯の香りが、何憚(はばか)らず北國の強い空氣に漲(ひた)つて居る。
漂泊 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
華奢で、筋肉質で、きかん気で、喧嘩強そうで——そのくせ、顔一面に漲(みなき)る恐怖は、死面(デスマスク)一杯に青隈になってコビリ附いて、物馴れた平次も、その不気味さに身を震(ふる)わせた程です。
山の手の賤妓は揮発油(きはつゆ)の匂を漲(みなぎら)してお座敷に来り、カッフェーの女給仕は競馬石鹸の匂芬々(ふんふん)として新粧を凝し千束町の白首(しろくび)は更にアルボース石鹸の臭気をいとわず。
偏奇館漫録 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
聖彼得(サン、ピエトロ)寺の塔の湧出したる、橄欖の林、葡萄の圃(はたけ)の緑いろ濃く山腹を覆ひたる、瀑布幾條か漲(みなぎり)り墮(お)つる巖の上にチヲリの人家の簇(むらが)りたるなど、皆かつがつ我筆に上りしなり。