“断(キ)” の例文
旧字:斷
島の東岸、箱崎・筒城(キ)の磯には、黒い岩と、灌木の青葉と、風に断(キ)れ/\になつて、木の間に動く日の光りとが、既に、夕陽(ユフカゲ)を催してゐた。
雪の島:熊本利平氏に寄す (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
浅間嶺をつゝみし雲の 夕近く やゝ断(キ)れし間に、小浅間の出づ
鵠が音:01 鵠が音 (新字旧仮名) / 折口春洋(著)
多摩の水三条に断(キ)れて涸れゐたり
松本たかし句集 (新字旧仮名) / 松本たかし(著)
念仏聖の多くは、放髪にして禿(カブロ)に断(キ)つたものである。剃つたものは、法師・陰陽師であつた。だが、禿(カブロ)即、童髪(ワラハガミ)にした「童子(ドウジ)」ばかりであつたわけではない。
枯蔓の蔓先を見る断(キ)れて無し
松本たかし句集 (新字旧仮名) / 松本たかし(著)
機に上つて日ねもす、時には終夜(ヨモスガラ)織つて見るけれど、蓮の糸は、すぐに円(ツブ)になつたり、断(キ)れたりした。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
古い——祖先以来さうしたやうに、此世(コノヨ)に在る間さう暮して居た——習(ナラハ)しからである。彼の人は、のくつと起き直らうとした。だが、筋々が断(キ)れるほどの痛みを感じた。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
郎女は、断(キ)れては織り、織つては断れ、手がだるくなつても、まだ梭(ヒ)を放さうともせぬ。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)