“強(き)” の例文
彼は酒の酔ひもさめたと見えて、興奮し、そのために稍強(き)つい、輪郭のはつきりした顔立ちになつて、一心に土手の方を注視してゐた。
医師高間房一氏 (新字旧仮名) / 田畑修一郎(著)
この村にいッち強(き)ッついモンは、困ったもんだのう、一番目はあのアネサにきまッてるこて。あのアネサがオッカねえというモンは、どこの誰らろかのう?
が、今は時期が時期だし、私は強(き)つい顔を見せたのである。それに今日これから新しいメンバーを誘って、何処(どこ)かの「しるこ屋」に寄る予定にもなっていた……。
党生活者 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
虫が好過(よす)ぎらあ——神尾さん、あんたのおかげで、罪もねえ奥様や、また弟御(おとうとご)や伊豆伍夫婦まで召し捕られて強(き)つい御詮議(せんぎ)の憂目(うきめ)を見ていなさるのを、あんたは
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
兄んちゃんのような強(き)つい人間に成れ!
蕗のとうを摘む子供等 (新字新仮名) / 長沢佑(著)
だが、その様子とはおよそ反対な強(き)つい、きらりと光る目で、盛子のうしろに、半泣きになつた、取乱した青い顔で立つてゐる徳次の妻、ときを見た。
医師高間房一氏 (新字旧仮名) / 田畑修一郎(著)
関西訛(なまり)の特長のある呼び方で、彼はちよつと頭を下げた。それはお辞儀といふよりも、何か強談を持ちかけるといつた工合の、一種の身構への感じられる強(き)つい調子だつた。
医師高間房一氏 (新字旧仮名) / 田畑修一郎(著)