“屑”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
くず56.9%
くづ14.8%
いさぎよ14.4%
いさぎ4.6%
いさぎよし4.2%
かず0.9%
もののかず0.9%
かけら0.5%
いさ0.5%
かえりみ0.5%
ぎれ0.5%
ごみ0.5%
せつ0.5%
もののくず0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
彼の思想は物置場であり、ユダヤ人の古物店であって、珍稀な器物、高価な布、鉄屑(くず)、襤褸(ぼろ)などが、同じ室の中に堆(うずたか)く積まれていた。
「へエ、それにしても、あの野郎は目を離せない野郎ですね。算盤(そろばん)ずくで女の子を口説く野郎なんかは、男の屑(くづ)みたいなもので」
太田蜀山(しよくさん)などには殊にそれが多い。漢文の大家である人達、和文を書くことを屑(いさぎよ)しとしなかつた人達にも、さうした『随筆』があつた。
西鶴小論 (新字旧仮名) / 田山花袋、田山録弥(著)
妹の夫の手前、金の問題などを彼女の前に持ち出すのを最初から屑(いさぎ)よしとしなかった彼は、この事情のために、なおさら堅くなった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
不断講釈めいた談話を尤(もっと)も嫌って、そう云う談話の聞き手を求めることは屑(いさぎよし)としない自分が、この青年の為めには饒舌(じょうぜつ)して忌むことを知らない。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
元より屑(かず)ならぬ犬なれども、猟(かり)には得たる処あれば、近所の犬ども皆恐れて、某が前に尾を垂(た)れぬ者もなければ、天下にわれより強き犬は、多くあるまじと誇りつれど。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
われ主家を出でしより、到る処の犬と争(あらそい)しが、かつて屑(もののかず)ともせざりしに。饑(うえ)てふ敵には勝ちがたく、かくてはこの原の露と消(きえ)て、鴉(からす)の餌(えじき)となりなんも知られず。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
切(せめ)ては此の室の中で窓の隙から日の光の差す辺へでも坐らせて置き度いと思い、手を取って引くと、オヤ其の手に麺麭(ぱん)の屑(かけら)を持って居る。
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
汝、卑怯者! 愚痴漢! 何故に屑(いさ)ぎよくその人生を清算し、汝を處決してしまはないのか。汝は何事をも爲し得ないのだ。
宿命 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
屑(かえりみ)ズ/汗漫ノ遊定蹤無シ/房南総北遍ク勝ヲ討(たず)ネ/雨裏ノ蹇驢月裏ノ篷/錦嚢包括ス錦様ノ句/都門我ニ揖シテ気太|はなは
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
玩具(おもちゃ)の洋刀(サーベル)を持ち海老しびの竹屑(ぎれ)を持った少年の群は、そこで戦(いくさ)ごっこをはじめた。
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そしてそれは屑(ごみ)運搬人とすれ違うのと同じ位不愉快である。トマトは非常に貧弱でひどく妙な格好をしているし、桃は小さく固く、未熟で緑色をしている。
熊楠諸国を遍歴して深く一塵(じん)一屑(せつ)をも破壊するてふ事の甚だ一国一個人の気質品性を損するを知り、昼夜奔走苦労してその筋へ進言し、議会でも弁じもらい、ついに囹圄(れいご)に執(とら)わるるに至って悔いず。
思慮のある男には疑懼(ぎく)を懐(いだ)かしむる程の障礙物(しょうがいぶつ)が前途に横(よこた)わっていても、女はそれを屑(もののくず)ともしない。それでどうかすると男の敢(あえ)てせぬ事を敢てして、おもいの外に成功することもある。
雁 (新字新仮名) / 森鴎外(著)