“啜(す)” の例文
主婦の眼にあてたガーゼから流れる水音が、酒と一緒に参木の脊骨を慄わせた。彼の前では、煉瓦の柱にもたれた支那人が、眼を瞑(つぶ)ったまま煙管(きせる)を啜(す)っていた。
上海 (新字新仮名) / 横光利一(著)
それが恐ろしい顎(あぎと)を海にぺたりと漬けて、音も立てずに油のやうに凝(こ)つた水を啜(す)つてゐるかと思はれる。
センツアマニ (新字旧仮名) / マクシム・ゴーリキー(著)
老人は恭しく一礼して数歩退いて控えた。いかに満足に客がこの天の美漿(びしょう)を啜(す)い取るか、成功を祈るかのよう敬虔(けいけん)に控えている。もちろん料理は精製されてある。サービスは満点である。
食魔 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)