“停(た)” の例文
彼は少しうろたえ気味に停(た)ち止まって暫く門内を眺めて居たが其の家の何んとなく取り付き難い気配いに幾分当惑の色を浮べた。
ガルスワーシーの家 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
急に現職業にかえったかれは、そこの売台(カウンタア)と私の中間に正しくななめに停(た)ちどまりながら、つんとモウニングの袖ぐちを引っぱって、売子の女に上官としての適度の威をしめして言った。
ここにして筇(つゑ)つき停(た)つな
駱駝の瘤にまたがつて (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
オペラ通りなどで、そんなデリカなショーウインドウとは似てもつかないけばけばしいアメリカの金持ち女などが停(た)ち止(どま)って覗(のぞ)いているのなどたまたま眼につく。
巴里の秋 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
わが婢(はした)なにおもふらむ廚辺(くりやべ)の桜花(はな)の樹(こ)のもとにあちらむき停(た)てり
桜 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
真玉(まだま)なす桜花(はな)のしづくに白黒のだんだら犬がぬれて停(た)ちたり
桜 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
塔(たふ)の沢のいかもの店に女唐(めたう)停(た)ちその向(むか)つ峰(を)の桜花(はな)盛りなり
桜 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
と若者も同じ様に云って、吉蔵の傍へ停(た)ち止(ど)まった。
かやの生立 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)