“会(お)” の例文
旧字:會
養子だけが会(お)うてくれた。たくさんとは言いませんがと畳に頭をすりつけたが、話にならなかった。自業自得(じごうじとく)、そんな言葉も彼は吐(は)いた。
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
「欣しや、やっと巡(めぐ)り会(お)うたぞやい。これも、つい先のころ、住吉の浦で不慮の死を遂げなされた権(ごん)叔父の霊のひきあわせでがなあろう」
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「入院したのは、はじめのことじゃ。もう退院(たいいん)したんど。うちのお父(とっ)つぁん、昨日(きのう)道で先生に会(お)うたいよったもん」
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
その自分に対(たい)して、去年(きょねん)会(お)うたときには、某牛舎(ぼうぎゅうしゃ)に寝(ね)ておって、うん安藤(あんどう)かといったきり、おきもしなかった。
箸 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
「毎日文(ふみ)を書いたり、たまにはいろ男にも会(お)うたりせねばならんゆえ、それが忙しいか」
山県有朋の靴 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
辛い目に会(お)うたことのない人は無遠慮である。心に傷のない人は鈍感である。自分が鈍感だから、敏感な人がそばにいることに気がつかない。そうして無邪気に他の人の心の傷に触る。
この子を残して (新字新仮名) / 永井隆(著)
「人が災難(さいなん)に会(お)うたのが、そんなおかしいんですか。うちのお父さんは屋根から落ちましたが、それもおかしいでしょう。みんごと大(たい)した怪我(けが)は、しませなんだけんど、大怪我でもしたら、なお、おかしいでしょう」
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
かねがね、惣左どのに仰せくだされて、こよい来い、会(お)うてやるとの、老公さまのおことばに甘え、お約束の頃おいと、参じました者でございまする。——白石(しらいし)の後家、雪乃とおつたえ下さればわかりましょう。よろしゅうお取りつぎを
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)