“貼(ば)” の例文
ガヤガヤしてたやつがぴったり止(と)まる。見る——なるほど、銀地(ぎんじ)に短冊を散らし貼(ば)りにした屏風が、死人の枕頭(ちんとう)を囲むように、逆さに置いてあるのだ。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「なるほど」と、半七は思わずほほえんだ「それから其の隠居所の、お此さんのいる六畳の部屋で、近い頃に障子の切り貼(ば)りでもしたことはありませんかえ」
半七捕物帳:13 弁天娘 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
時頼や泰時(やすとき)が、障子のツギ貼(ば)りをしたり味噌をなめて、みずからの生活を節し、士風をいましめ、済民や水治の善政に心していた時代にくらべれば、あまりに隔世(かくせい)の感がある。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
切り貼(ば)りをした障子、古びた襖(ふすま)、茶色になってへりの擦れている畳や、凍(し)み割れのある歪(ゆが)んだ柱、煤(すす)けた行燈の光にうつしだされるあの狭い、貧しい部屋のありさまがまざまざとみえる
日本婦道記:糸車 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)