“脱(に)” の例文
明るみから暗いところへ、曲りなりにも緒についた官の意企に従って、そう——微(かす)かながらも植えつけられた文明の場所から、彼らは進んで、求めて、榛莽(しんぼう)の密林の土地に脱(に)げこもうとしている。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
こりゃ心の迷いだ。脱(に)がしてはならぬ脱がしてはならぬと思ってるからだ。こればかりの事に神経を悩すとは、ええ、意気地の無い事だ。いかさまな、五十の坂へ踏懸けちゃあ、ちと縒(より)が戻ろうかい。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)