“背(そ)” の例文
私の画業は当然進まず、似もつかぬ画中の山から眼を背(そ)むけて、筆を投ぜんとしたのも幾たびか。だが、また気を取り直し、明日を期しては、悩む頭を旅枕に。
ある偃松の独白 (新字新仮名) / 中村清太郎(著)
女衒は上框(あがりかまち)に腰を下して片足を膝に組みながら、鋭く凡太に一瞥を呉れたが、すぐに目を背(そ)らしてそ知らぬ顔をつくり、二階へ上つた女中に向いて「もう上つてもよいのか」と
黒谷村 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
奉行は息を吐いて背(そ)り返り、静かに四辺を見廻はした。