“童(ぱ)” の例文
こんどは交わし損ねて、その拳(こぶし)が城太郎の耳の辺をごつんと打った。城太郎の片手がそこを抑え、河(か)ッ童(ぱ)あたまの毛がみな逆立ッた。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
が、しかし、今この材木場の奥に突き当って、そこに眺めた深い暗やみはたしかにその一ツで、俗に、聖天(しょうでん)の河(か)ッ童(ぱ)穴(あな)といった跡にちがいない。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
雨に光っている髪の毛は、蓬々(ぼうぼう)と耳にかぶさって、絵に描いた河(か)っ童(ぱ)そのままだ。筒袖の腰きりに、縄の帯、背中まで泥濘(ぬかるみ)の跳ねを上げている。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その中から、ひょっこり、年の暮も正月もない、河(か)っ童(ぱ)あたまの城太郎が姿を見せた。橋の中ほどまで来て、武蔵と朱実のすがたを彼方(かなた)に見つけ
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ここで素性を知る者にとび出されては、もう釘勘の好意も滅茶滅茶で、下手をまごつくと生きてこの聖天(しょうでん)の河(か)ッ童(ぱ)穴(あな)を出ることは不可能かもしれない。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その金を投げるが如く渡すと、うしろへ身を退(ひ)いて、一散に河(か)ッ童(ぱ)穴(あな)を飛び出そうとしましたが、途端に
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
階下(した)の小女が顔を出し、その後からすぐ城太郎が上がって来たのである。城太郎の黒い顔は、旅の垢(あか)でよけいに黒くなり、河(か)っ童(ぱ)のような髪の毛は埃(ほこり)で白くなっていた。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
船頭の娘なので、河(か)っ童(ぱ)のように髪の毛は赤いし、色は黒いが、眼元がぱっちりしていて、研(みが)けば今に、潮来(いたこ)でお職(しょく)が張れるなどとよく揶揄(からか)われたりするほど、どことなくそんな素質の小娘だった。
旗岡巡査 (新字新仮名) / 吉川英治(著)