“発(だ)” の例文
旧字:發
急に思い立ったように、近衛信尹(のぶただ)は館(やかた)へ帰ってしまったし、行司の沢庵も眠くなったとみえ、無遠慮な欠伸(あくび)を発(だ)してしまう。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「どうも、弱りましたな。この分でゆくと、もう一つ、足留稲荷の向うを張って、早発(だ)ち稲荷てえのをまつって、せいぜい油揚げをお供えしなくっちゃアなりますめえぜ」
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
四つになる実(みのる)が急に熱を発(だ)して頭が痛い、頭が痛いと、のべつに訴えていた。
秘められたる挿話 (新字新仮名) / 松本泰(著)
自分たちの仲間から発(だ)したあッという声であるのに、その衝動をうけて皆、どっと一歩ずつ後方(うしろ)へ身を退(ひ)き、そして、指さした者の指先へじっと視線をそろえた。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
無理に引っ張れば、狼(おおかみ)のような甲高(かんだか)い声を発(だ)して、吠えつづける。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あぶなく、庄次郎は、声を発(だ)すところだった。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)