“沁(じ)” の例文
沁(し)み沁(じ)みと父の話を聞いてみると、やはり父には父の言分があるので、真向から反対はできないと云ふ気もしたのではあるが、一人になると
鳥羽家の子供 (新字旧仮名) / 田畑修一郎(著)
一太は、楊枝(ようじ)の先に一粒ずつ黒豆を突さし、沁(し)み沁(じ)み美味さ嬉しさを味いつつ食べ始める。傍で、じろじろ息子を見守りながら、ツメオも茶をよばれた。
一太と母 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
おたあちやんは、今は、あの日のことが沁(し)み沁(じ)み後悔されて『悪いことをした』と心で思ふやうになりました。
虹の橋 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
内典・外典其上に又、大日本(おおやまと)びとなる父の書いた文(もん)。指から腕、腕から胸、胸から又心へ、沁(し)み沁(じ)みと深く、魂を育てる智慧の這入(はい)って行くのを、覚えたのである。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
おさく師匠があの体でここを毎日往き通いした労苦が、沁(し)み沁(じ)み察しられたのであった。
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
と、沁(し)み沁(じ)みした様に、独語した。
かやの生立 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)