“毮(む)” の例文
千登世は朝髮を梳(す)く時ぬけ毛を束にして涙含み乍ら圭一郎に見せた。事實、彼女の髮は痛々しい程減つて、添へ毛して七三に撫でつけて毳(むくげ)を引き毮(む)しられた小鳥の肌のやうな隙間が見えた。
業苦 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
またはいくらかの純情があったにせよ、とにかくその冷たそうにみえる一と皮を毮(む)しり取って、情熱の火を燃やしたてたということだけでも、葉子は擽(くすぐ)ったい得意をひそかに感じていたのであったが
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)