“武(む)” の例文
兇器(きょうき)が手を離るゝのを視(み)て、局は渠(かれ)が煙草入(たばこいれ)を探す隙(すき)に、そと身を起して、飜然(ひらり)と一段、天井の雲に紛(まぎ)るゝ如く、廊下に袴(はかま)の裙(すそ)が捌(さば)けたと思ふと、武士(さむらい)は武(む)しや振(ぶ)りつくやうに追縋(おいすが)つた。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「武(む)は——武士の武……」
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
巫女 いやみ、つらみや、怨(うら)み、腹立ち、怒(おこ)ったりの、泣きついたりの、口惜(くや)しがったり、武(む)しゃぶりついたり、胸倉(むなぐら)を取ったりの、それが何(なん)になるものぞ。いい女が相好(そうごう)崩(くず)して見っともない。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)