“暮(ぐ)” の例文
そして、一番永く身を隠していた家が、孫兵衛、お前とお前の母親とがふたり暮(ぐ)らしで棲んでいた川島の丘のお前の屋敷だ
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それに咳嗽(せき)が出る。ちょうどそこに行田に戻り車がうろうろしていたので、やすく賃銭(ちんせん)をねぎって乗った。寒い路(みち)を日の暮(く)れ暮(ぐ)れにようやく家に着いた。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
昔ながらの松明(まつのあかり)の覚束(おぼつか)なき光に見廻はせば、寡婦(やもめ)暮(ぐ)らしの何十年に屋根は漏り、壁は破れて、幼くて我(わが)引き取られたる頃に思ひ較(く)らぶれば、いたく頽廃(たいはい)の色をぞ示す
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)