“搗(か)” の例文
搗(か)てて加えてその頃から外国人、殊に日本人に対して厳しく警戒し、動(や)やともすると軍事探偵視して直ぐ逮捕した。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
搗(か)てて加えて、朝の薄曇りが昼少し下(さが)る頃より雨となッて、びしょびしょと降り出したので、気も消えるばかり。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
搗(か)てて加えて降雪量の多少、気候の寒暖等が強く影響して、その結果南北アルプスは各々今日見るが如き異りたる特色を有するに至ったものであろうと思う。
南北アルプス通説 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
母親の夫人の悲歎(ひたん)は傍(はた)の見る目も憐れなくらいであったところへ、搗(か)てて加えて父のZ伯爵から
医師なんぞの一切合財に搗(か)てて加えて、当地の大学に奉職しておられます医学、法学、哲学、文学、動物学その他の自然科学者で、一流と呼ばるる大学者連の十数名を参考人として
霊感! (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それさえ尋常(ただ)ならず、とひしめく処に、搗(か)てて加えて易からぬは、世話人の一人が見附けた——屋台が道頓堀を越す頃から、橋へかけて、列の中に、たらたら、たらたらと一雫(ひとしずく)ずつ
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
搗(か)てて加えて一家の実際の事情は岡目で見るほど決して気楽でなかった。気楽どころかむしろ逼迫していた。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
婦人雑誌としての思想上の位置こそ巌本善治(いわもとよしはる)の『女学雑誌』に及ばなかったが、美妙の編輯だけに頗る文学的色彩に富み、搗(か)てて加えて美妙の人気が手伝ってかなりに多数の読者を吸収していた。
美妙斎美妙 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
搗(か)てて加えて渠(かれ)らは貴族という条、マダ出来立ての成上りであった。
搗(か)てて加えて沼南夫人の極彩色にお化粧した顔はお葬い向きでなかった。その上に間断なくニタニタ笑いながら沼南と喃々(なんなん)私語して行く体(てい)たらくは柩(ひつぎ)を見送るものを顰蹙(ひんしゅく)せしめずには措(お)かなかった。
三十年前の島田沼南 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)