“徐(そ)” の例文
人間共に未来を見せず、奴等の悦ぶ思弁にこじつけてさも世界を救う大思想のように思わせ思わせ野心と所有の慾望を徐(そ)ろ徐(そ)ろ植える手際には、俺も参った。
対話 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
「お寢(やす)みだ。」と、例の淋しさうな聲で小さくさう言ひつゝ、徐(そ)つと出て行つた。早く下へ行つて診察室に歸らなければ、看護婦は一人しかゐないのにと冷吉は思つた。
赤い鳥 (旧字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
いや飛乗らうものなら直(す)ぐに顛覆(てんぷく)するに決つてるが、其れと見て岸に居る一人の立(たち)ン坊(ばう)が船を押(おさ)へて呉(く)れる。其処(そこ)へ船の中から差出す船頭の手につかまつて徐(そ)つと乗つたのだ。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛、与謝野晶子(著)