“区(く)” の例文
旧字:區
あのとき初(はじ)めてシャラントンやムフタール区(く)からはいって来たとき見て早飲みこみに思ったようなどろまみれの町でもないことがわかった。
「もうここらは白鳥区(く)のおしまいです。ごらんなさい。あれが名高いアルビレオの観測所(かんそくじょ)です」
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
貧しい本所(ほんじよ)の一区(く)が此処(こゝ)に尽(つ)きて板橋(いたばし)のかゝつた川向(かはむか)うには野草(のぐさ)に蔽(おほ)はれた土手(どて)を越して、亀井戸村(かめゐどむら)の畠(はたけ)と木立(こだち)とが美しい田園の春景色(はるげしき)をひろげて見せた。蘿月(らげつ)は踏み止(とゞま)つて
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
日本橋区(く)本町(ほんちょう)三丁目一番地嚢物(ふくろもの)商鈴木米次郎方の婢(じょちゅう)おきんと云うのが、某夜(あるよ)九時すぎ裏手にある便所へ入ろうとして扉をあけると、急に全身に水を浴びせられたようにぞっとして
簪につけた短冊 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)